うさぎうさぎ何見て跳ねる・・・
「知ってるか?月には僕たちの仲間がいて、毎日お餅をついてるんだって!」
少し肌寒い長い長い秋の夜・・・・
仲良く空を見上げる白い影が2つ・・・
「知ってるか?月には僕たちの仲間がいて、毎日お餅をついてるんだって!」
片方のウサギが空を見上げながらそう言うと・・・
「知ってるよ兄さん・・・その話、僕にするの何回目だと思ってるんだい?」
と、「またか・・・」と言わんばかりの表情で答える弟ウサギ・・・
「いいじゃないか何度話したって!あんなに遠い所にも僕たちの仲間がいるんだ!こんなにすごいことはないじゃないか!」と、嬉しそうに答えるお兄さんウサギ・・・
「そうだね!あんな遠い所に仲間がいるなんて!それだけで勇気が湧いてくるね!」と、こちらも嬉しそうに答える弟ウサギ・・・
「そうだろ!僕はいつか月の仲間たちに会いに月へ行きたいと思ってるんだ!そして『これが地球のお団子だよ!』って、このお団子をプレゼントしたいんだ!」と月を見上げるお兄さんウサギ。
「それはいいね!でも兄さん、どうやって月までいくつもりなんだい?」
「そんなの簡単じゃないか!僕たちにはこんなに立派な足がついてるんだぞ!この足があればいつか必ず月まで跳んで行けるに決まってるじゃないか!」と自慢の足でピョンピョンと跳ねて見せるお兄さんウサギ。
つられて弟ウサギも一緒にピョンピョンと跳ねます・・・と、その時です!
「ハハハ!みんな!今の聞いたか!」と兄弟ウサギを取り囲むように周りから声が聞こえてきました・・・
兄弟ウサギが辺りを見渡すと、秋の夜風に気持ち良さそうに身を委ねているススキ達が2匹見下ろしながら大笑いしていました・・・
「あっはっはっ!おい!みんな今の聞いたか!月にウサギがいるだって?お前達あんな作り話を信じてるのか?あんなの人間達が月の影を見て勝手に言っているだけじゃないか!何より跳んで月まで行くだって?お前たち俺たちよりも高く跳べないくせに月まで行けるわけがないじゃないか!」と、ススキ達は兄弟ウサギを見下ろします。
これを聞いた弟ウサギは「そんな事ないよ!今はまだそんなに高く跳べないけど、いつか必ず僕たちは月まで跳んで行くんだ!それに月にウサギがいないだって?何でそんな事がわかるんだ!月へ行った事もないくせに!」と声を荒げます・・・
それを見かねたお兄さんウサギは静かに話します・・・「ススキさん!人間たちが言うように、確かに月にウサギはいないかも知れません・・・跳んで月に行けないかもしれません・・・でも、もし月に仲間がいたら・・・この足で月まで跳んで行けたら・・・こんなに素敵な事はないじゃないですか?想像してみて下さい・・・月に吹く黄金色の風に身を委ねている一面のススキ畑があったら・・・そんなススキ畑で地球を見上げながら跳ぶ練習をしている兄弟がいたら・・・それだけで嬉しくなりませんか?」と、もう一度月を見上げます・・・
それを聞いたススキ達も月一面に広がる仲間たちの事を想像しながら月を見上げます・・・
と、その時です・・・
一年で一番きれいな満月から一陣の黄金色の風が吹いてきました・・・
風は兄弟ウサギとススキ達を包み込みながらこう言います・・・
『これが地球のお団子なんだね!美味しそうだな!今度は僕たちのお餅も食べに来てね・・・』
それを聞いた兄弟は大はしゃぎ!さっそく月に向かって飛び跳ねます!
ただ、今はまだススキよりちょっとだけ低い高さですが・・・
今年の一年で一番きれいな満月は9月30日だとか・・・
あなたも兄弟と一緒に月を見上げませんか?
って感じで、相変わらずそんな設定まったくないんですが、こちらが4階の今月の作品です・・・
4階にお越しの際は是非ご覧ください!
投稿者:甲斐