ストレングスモデルのケアプランよりも想像力を
定員270人の特養に6人のケアマネージャーが働いている。サービス担当者会議をこまめに開催して個別のケアプランを作成し、モニタリングを行いケアプランの進捗状況をチェックしている。ケアマネージャーの仕事は多岐にわたり大変だと思う。ケアマネジメントに基づくケアプラン作りが中心になっているが、家族との調整、入院の調整、入所や退所の手続き、サービス担当者会議の開催、事例検討会の実施、それにプラスして1階事務所で仕事をしているので電話番から訪問者の応対までしなければならない。果ては管理者の思いつきのようなアイデアにもつきあわされる。万能というか、幅の広い人付き合いが求められる。ぼくのような人見知りタイプでは絶対にできない仕事の一つである。
施設のケアマネージャーの作成するケアプランを見ていると精一杯がんばっているのが読み取れる。どのケアプランを読んでもケアマネージャーの誠意が伝わってくる。だから、あまりケアプランについて意見を言いたくはないが、少しだけ気になることがある。
それは最近の傾向として、ポジティブプラン、ストレングスモデルについて話されることが多くなったことである。その人の持つ強みを引き出して、生きることに対して肯定的な考えを植え付けていく。ICFとかいう横文字が氾濫すると余計に何が何だか分からなくなる。当たり前のようにストレングスモデルを持ち出すことが正しいという風潮があり、それぞれの理解度が違うにもかかわらずストレングスモデルが一人歩きしている。本質的なものと流行を勘違いしてはならない。
じつはそういう手法の問題よりも、僕はケアプランにとって一番大切なことはケアマネージャーの想像力ではないかと考えている。具体的なケアプランが立てられたとして、それがどこまで実現可能なケアプランなのかはそれぞれの想像力にかかっている。想像力こそが大切なことであって、想像力によってケアプランは実のあるものになっていく。
そこで問われてくるのが過渡的目標のレベルをどこに置くのかとと言うことだ。「過渡的諸目標の体系に基づく戦略・戦術」を説いた革命家もいたが、最大限の目標と最小限の目標の間に設けることができる過渡的目標を明確に想像できる人間が必要になってくる。ケアマネージャーの仕事はこの過渡的目標をいかにうまく組み立てられるかにかかっている。その時の想像力の的確さがケアプランの善し悪しに影響する。
いいケアプランは、想像力を駆使して過渡的目標を立てることである。その過渡的レベルが低いと目標設定にはならないし、高すぎるとあきらめてしまう。微妙なバランスを考えて、課題設定と目標レベルを考案していく。まずもって、ご利用者様が理解して自らが積極的に動くようなプランが問われてくる。
そういう視点でケアプランを読んでいると、まだまだ想像力の欠如したプランが時々散見される。画一的であったり、標語的であったり、ステレオタイプであったり、個別の実現可能性ということにあまり配慮されていないものも見受けられる。これでは個別ケアプランに沿ったケアを実施していこうと言っても、ご利用者様も介護職員も動かないだろう。みんなが目標に向かって動ける過渡的目標の具体像がイメージできることが大切なのだ。その意味でケアマネージャーにとって一番必要な資質はと問われたら、僕は想像力だと答えたい。(hirota)
《大阪の吹田市にあるの力は特養の中でもトップクラスです。また、特養1施設で介護支援専門員が6人もいます。そのためケアプランなどもきめ細かく充実していますので安心して施設をご利用できます。ぜひ、弘済院第1特養のHPを見てください。特養の魅力が満載ですよ。》