廊下で発声練習
先日、ある利用者さんに、廊下で呼び止められ、
「尾上さん、あそこの廊下で発声練習していいかな?」と・・・
「みんなの迷惑にならないかな?」
「声を出す練習するの?」
「機能訓練の先生に伝えましょうか?」と、私が答えると、
「あ・い・う・え・お・・・と自分で決めてやってみるわ。」
「毎日、やろうと思う。」
「すごい!! 頑張って! 私も時々、いっしょにやりますね。」と私。
その方は、つい半年前まで、「もう死にたい。あと、1ヶ月で死ぬわ。もう あかん。」と、後ろ向きな事ばかり言っておられました。
しかし、ここ最近、お話をしっかり聞かせて頂くうちに、表情も明るくなられ、ご自分のやりたいことを少しずつ私達にお話してくれるようになられたのです。
俳句を毎月、詠む。 小説を書きたい。 阿倍野ハルカスに行きたい。等々・・・
少しずつ、前向きになられ、この「発声練習」に!!
ケアマネとして、こんな嬉しい事はありません。施設生活を受容され、前向きに進まれる。視点を変えることによって、次々に目標が生まれてくる。
意欲が無くなられている利用者さんは、たくさんおられます。心と身体は通じているのでしょう。身体的に支障がでると、どうしても心も沈みがちになります。
そんな高齢の利用者さんに、前向きになって頂くには、どうすればいいのか?
支援方法を職員間で検討する時、必ず、ぶち当たる壁です。
傾聴につきるように思います。お話をしっかり聴く。ただ聴くだけでは、だめ。その方に寄り添う姿勢で!!
人間、誠心誠意対応を重ねれば、伝わると、私は、信じています。
利用者さんの意欲向上を目指して、しっかり耳を傾け、お話を聴けるケアマネでありたいと思いました。
昨日、また、その利用者さんに呼びとめられました。
「尾上さん、発声練習続けているよ!!」と・・・満面の笑顔が、そこには、ありました。