ぽかぽかプラン

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2015.06.14

ケアマネジメントと感覚

介護保険制度と共に介護支援専門員が生まれケアマネジメントという領域が新たに発生した。施設における高齢者ケアサービスは当然のことであるが昔から続いているわけであるが、介護保険制度と共にケアプランの作り方から始まり、ニーズの抽出と分析と予測、協議の上でのプランの樹立と実行、ご利用者への同意と説明、ケアの進捗状況の確認(モニタリング)、ケアサービス提供者の情報共有と連携など、ケアをめぐっていろいろな要素が入り込んできた。その中で、介護保険制度の根幹となるケアマネジメントを推進するために介護支援専門員はケアサービスの中心的な役割を持つことになった。実際にケアサービスを提供する者より、ケアの計画を立てる者の方が重要になってきたのだ。その仕組みは分かるが、現場の感覚としてはしっくりこないものもある。

介護保険制度の施行と共に高齢者ケアサービスにはケアマネジメントに基づくケアプランが必須となった。だが、何故にケアプランが必ず必要なのかという問いは曖昧なままのような気がする。このあたりの不自然さがケアマネジメントの実践とケアプランの質の評価等に微妙に影響をしているのだと思う。

例えば、アセスメントを行うときに大切な事柄として、原因を探り根本的な解決策を考える、日常生活全般を見てニーズを抽出する、時系列で状況を把握し分析を行い今後を予測する、より具体的な事象を把握する、情報を整理して統合し多面的な分析を行う、などがあげられると思うが、このことを活かした現実的なケアプランを作ることは本当に難しい。

ケアプランの作り方を料理のようにたとえている人もいるが、料理の優劣は料理のレシピでは計れない。ケアプランの作り方をいくら詳細に述べても、プランを作るのが人間である限り人間の感覚と経験がものを言う。レシピはあっても最後は料理人の自分の舌が美味しさの基準になってくる。ケアプランも作る人間のプラン作成能力が問われている。理屈では割り切れない、人間を見る感覚と支える感覚が人より優れているから良いケアプランができるのだと思う。

ニーズの抽出のしかたが大切だなんて金科玉条に思い込んでいると、本質的な部分がなかなか見えないものだ。ニーズを感じる力が大切なのだと思う。介護支援専門員は事務労働者ではないのだ。どちらかと言えば芸術家なのだと思う。想像力が豊かであって何かを作り出していく力がケアマネジメントの中で生きてくる。その意味で、ケアプランの作り方の本やマニュアルは結局のところあまり役に立ってはいない。感覚を理論で研ぎ澄ますことは難しい。自分の感覚は自分の経験と思いの中で深まっていく。その感覚を大切にしたいと思うことが良いケアプランにつながっていくのだと思う。(hirota)